問題解決を試みるデブ
プロジェクト背景
私の友人は正直な人が多い。最近、その正直な友人たちに会うと、第一声がだいたい「太った?」である。そしてまた来週、正直な友人に会う予定がある。
なので、そんなことはないと相手に思わせるための想定問答を考えたいと思うに至った。相手に原因があると仮定して、私を見て太ったと言ってしまった原因を分解、どこに問題があるかを確認してみたいと思う。
原因分析
想定問答(脳内)
私「久しぶり、元気だった?」
友人「うん、元気だよ〜。セロリは元気だった?・・・あれ?太った?」
私「そういうあなたこそ目が悪くなったんじゃない?」<(1)視力の問題>
友人「悪くなってないよ、この間の健康診断で両目ともに1.0だよ。それにしても顔が丸くなったね。」
私「そうかな?健康診断で視神経が切れてるって言われなかった?もしくは頭の後ろ側を激しくぶつけたとか・・・。」<(2)伝達の問題>
友人「そんなこと言われてないよ。切れてたら今あなたの方を向いて喋ってないでしょう。」
友人「それに頭だってぶつけてないよ。そんなに私の知覚能力に問題があることにしたいの。」
私「まあそうなんだけど・・・その話は置いといて、見ることに問題はなさそうだね。あ、ひょっとしてデブの定義が厳しすぎるんじゃないの。今まで出会ってきた人たちの90%近くをデブと記憶しているんだよきっと。」<(3)記憶の問題>
友人「デブの定義ってなんだよ。パッと見で体のパーツが丸いかで判断しているよ。私の友人はスリムな人が多いし、だいたい太ってるなぁと思うのは10人会って1人くらいだよ。」
私「曖昧だけど、まぁそんなもんだよね・・・。じゃあその10%の記憶のデブ達と私をイコールで結びつけたわけだよね。頭の後ろはぶつけてないみたいだけど、前の方ぶつけたのかもしれないよ。」<(4)判断の問題>
友人「ぶつけてないよ。そんなに頭ぶつける機会ないし、脳に異常があったらこんなにきちんと受け答えできないでしょう。」
私「そうか、そうだよね。ちゃんと受け答えできてるしね。えと、そろそろ面倒になってきたんだけど、脳から口に伝達する神経は切れてないよね?脳からの指令がうまく伝わらなかったんじゃ・・・」<(5)指令の問題>
友人「面倒になってきたのはこっちだよ、切れてないよ。今喋ってるじゃん」
私「そりゃそうか。当然、唇、顎、歯、舌、口まわりのどこも異常はないよね?例えば一夜にして口裂け女になったとか」<(6)口の問題>
友人「太った上に視力も落ちたんじゃないの?一緒に病院行く?」
結論
相手に問題はなさそうだ。
私に問題がありそうなので、このプロジェクトはクローズして、kindleで漫画読みながらおせんべいを食べたいと思う。
大企業と猫型人間の悲劇
お手!と言ってお手をする猫は非常に少ない。猫は何かを強制されることに向いていないのである。良くも悪くも自由なのだ。
人と話していると、あの人は猫っぽいか犬っぽいかという話が出る。私は誰に聞いても満場一致で猫に似ていると言われる。猫らしい私は周囲の期待どおり、不必要に強制される縦社会が嫌いである。例えば後輩である事を理由に、飲み会でお酌や一気飲みを強制される体育会系のノリが大の苦手で、学生時代はそういう組織を徹底的に避けてきた。
話は遡り、就活生時代。数ある企業の中からある大企業を選んだ。理由はいくつかあるが、1つは面接官やOB/OGと会ったときに比較的自由でフラットな印象を持ったためだ。この人たちとならばやっていけそうだ、そう感じた企業を選んだのである。
しかし実際入ってみると、予想は悪い意味で覆された。
1.狼の群れに放り込まれた猫
入社1日目、組織の長からの第一声はこうだった。「君、お酒飲める?」
私が入ったのは、体育会系で飲み会大好きおじ様が集まる組織だった。
以後は、1回につき8〜9時間にも及ぶ飲み会戦記である。そこで私は狼の縦社会を徹底的に叩き込まれることになった。(注:忙しい人は2〜5は読み飛ばしてください。)
2.行く前から疲れたよ、パトラッシュ・・・
若手の仕事は、幹事。仕事は大きく分けて2つある。
1つ目は、店の予約(1次会から3次会まで)。こだわりの強いおじさん達が多いと骨が折れる。ありきたりなチェーン店を予約すると怒られるし、会社から会場まで乗り換えが発生すると文句を言われることもあり、場所選びは慎重に行う必要があった。
2つ目は、まわりへの根回し。事前の出席確認はもちろんのこと、当日の挨拶と締めの言葉を事前に頼む必要がある。歓送迎会の場合は贈り物や花束も事前手配。当日は迷子が出ないように、居酒屋までの道順を印刷したものを各人に渡す慣例もあった(各自でグーグル先生に聞いて欲しいものだ)。
3.飲み会は狼たちの牙城と化す
飲み会がスタートしたら、狼の縦社会を学び、遠吠えを聞かされる。
まず、狼の縦社会レッスン。お酒を全員についでまわることから始まり、酒瓶のラベルが上になっていないと指導が入る。誰かの杯が乾いてはいけないので、常にコップを凝視する必要があると学ぶ。もちろん食べ物のとりわけも同時に行う。後輩は先輩のために働き続けるのだ。猫に上下の概念はないので理解に苦しむ。
酒がまわると、狼達の遠吠えが始まる。「お前は酒が飲めないからダメなんだ」という説教か「⚪︎⚪︎専務のやり方が気にくわない」などと言った会社の愚痴である。
コップを凝視しながら&食べ物を取り分けながら&説教と愚痴を聞きながら、なので食べ物は全然食べられない。さらに、私はお酒が飲めないのでずっと烏龍茶を飲んでいる。また、上司たちは酔いが進むと同じ話を何度も言うようになる。もういいよ、烏龍茶と⚪︎⚪︎専務がむかつく話は・・・。
4.帰りたい、帰れない、さよならカントリーロード
1次会が終わり、2次会、3次会へと誘導する。午前3時、千鳥足の先輩に脚を踏まれ、ゲロの処理をし、疲れ果てる。みんな楽しそうに笑っている(一部寝ている)。私はしらふである、笑えない。最後は、寝ている人間をタクシーに突っ込む。
そして、次の日は朝一で出社するルールがある。「俺、実質1時間しか寝てね〜わ〜」。謎の自慢がはじまる。
学生時代から体育会系の世界を渡り歩いてきた人には当たり前かもしれないが、私には全く馴染みのない世界であった。飲み会の前日はいつも泣いていた。行きたくない、辛い。1年目の後半はノイローゼ気味になり、過敏性腸炎になった。猫が狼の群れに放り込まれても一緒に行動することはできないのだ。
5.同期からの一言
あれだけ調べたのに・・・私は企業の選択を間違えたのだろうか。半ベソをかきながら会社の同期に話したら、不思議そうな顔をされた。「私のいる部署は飲み会なんて全然ないよ」
6.大企業、それはギャンブル
大企業には様々な部署が存在し、配属リスクの問題がつきまとう。職種採用でない限り、職種に関するリスク(営業希望が経理に配属になる等)があるのは承知であると思う。もう1つ忘れてはならないのが、組織風土に関するリスク。先の例の様に、1つの企業で1つの組織風土であるとは思わないほうが良い。同じ企業の中でも、猫の集会の様な組織、ドッグランのような組織、荒野の狼のような組織と、多種多様である。どこに入るかはまさに運次第。大企業就職はリスクの高いギャンブルなのである。
部長は乙事主
もののけ姫(宮崎駿監督)では、なぜ猪たちが滅びてしまったのだろうか。
現代社会では、なぜたくさんの組織が潰れてしまうのだろうか。
その答えは、私が社会人になってから知った。
ある営業組織の話をしよう。以下はほぼ実在の話である。
長年業界に君臨し、出世街道を突き進んできた、O部長(仮名)。
顧客は、彼が商談に行けば頷き契約してしまう。部下は、彼の話を聞いていると顧客に赴くだけで売れてしまう気がする。
さながら、数百年もの間、鎮西の猪たちを総べてきた乙事主(おっことぬし)様(注1)のような存在である。ああ、乙事主様。ぶひぶひ。そして我らも猪突猛進の志士となる。
ある日、その営業組織に変化が起こった。
外部環境の変化により人員を減らしたため、一人一人の担当領域が広がった。そしてベテラン社員と若手社員を数名交代させ、営業経験値が下がった。
突然人間が現れて森を切り刻んでしまったようなものだから、私たちは動揺した。
社員の動揺をよそに、O部長のやり方は変わらなかった。
これまで彼が成功してきたのは、とにかく顧客の元へ足を運び続けたからである。彼は今まで通り訪問件数を重視する方法を選択した。
まわりが変わろうが、乙事主様は古来からの猪の誇りを忘れないのだ。
結果、売上は減少。
理由は簡単で、担当領域が広がったため移動時間が増加し、慢性的に時間がない状態に陥ったからである。時間がないことにより、クレーム対応や販売後のアフターケアなど既存顧客へフォローができなくなった。
さらに新規顧客を開拓する前に必要な事前準備ができなくなった。もちろん、ただ訪問しても営業経験のない若手は何をして良いかわからない。
既存の守り、新規の攻め、どちらもおろそかになってしまった。
でもO部長のいう事に間違いはないはず。だって長年この業界に君臨してきた乙事主様ですもの。ずっとこの組織を守ってきた人ですもの。
私たちは根性で前に進み続けるしかなかった。
移動時間にばかり時間が割かれ、売上があがらないばかりか、勤務時間も増大し、社員は疲労困憊してしまった。結果、若手数名がうつ病で休職してしまった。
O部長は祟り神になり、社員を飲み込んでしまったのだ。
数年前まで1ドル90円台だったのにあっという間に110円台。ついこの間までガラケーだったのに、もう皆スマホ。時代はめまぐるしく変化している。
O部長は、過去の成功体験だけを元に方針を決めてしまった。
乙事主は、猪の誇りだけを元に突進してしまった。
時代の変化に合わせて方向転換する柔軟性、これがないと組織はいとも簡単に潰れてしまうのである。
ジブリの名台詞で新入社員時代を乗り切ろう
新入社員の時、上司からこんな言葉を言われたことはないだろうか。
「全然違うよ、そんなことやれって言ったか?」
うわ、まじか。何時間もかけてやったのに、そもそもやること間違ってたのか。もうだめ死にたい。
鋼のメンタルでない限り、落ち込む人が大半であると思う。
皆さんは、上司や取引先から叱責を受けた時、どのようにその言葉を受け止めているだろうか。
入社したての頃、私は事業戦略をたてる仕事をしていた。
生来ぼんやりしている私は、何度も初歩的なミスを犯して、上司からいつも詰め(注1)られていた。
(注1:延々とロジカルに怒られ続けること)
「そんなアウトプット頼んでねぇよ。欲しいのは⚪︎⚪︎的なデータだっつーの」上司からの言葉に必要以上に落ち込み、トイレで泣いていた。
詰められ続けた入社1年目の夏、私は開眼した。
その瞬間は、高畑勲監督の「火垂るの墓」を見ている時に訪れた。物語中盤、とあるセリフが脳に響いたのである。
「節子、それドロップやない。おはじきや」
ん?今日の上司の話ってこういうことか。私、そもそも食べ物でないおはじき食べていたのか。そりゃつっこみ入るよね。
その時、私は脳内変換の術を会得したのだ。この時から怒られても必要以上に落ち込まなくなった。
その後は叱責されなくなるまで、下記の脳内変換を繰り返していた。
「スライドいけてねぇ」→「コンクリートロードはやめたほうがいいぜ」
「(会議にて)何で一言も喋らないの?ノンバリューだよ。」→「飛ばねぇ豚はただの豚だ」
「議事録は一言一句もらさず書いて、今日中に提出しないと意味ないでしょ」→「40秒で支度しな」
社会人になると、上司、取引先、様々な人から叱責を受ける場面が増える。反省すべきところは反省して、感情的な部分はユーモアに変えてしまう。辛くなってきた時はこの方法をおすすめしたい。
ほら、こわくない・・・。ナウシカの声が聞こえた。