セロリの同情を呼ぶブログ(仮)

生きろ、お豆腐メンタル

大企業と猫型人間の悲劇

お手!と言ってお手をする猫は非常に少ない。猫は何かを強制されることに向いていないのである。良くも悪くも自由なのだ。

人と話していると、あの人は猫っぽいか犬っぽいかという話が出る。私は誰に聞いても満場一致で猫に似ていると言われる。猫らしい私は周囲の期待どおり、不必要に強制される縦社会が嫌いである。例えば後輩である事を理由に、飲み会でお酌や一気飲みを強制される体育会系のノリが大の苦手で、学生時代はそういう組織を徹底的に避けてきた。

話は遡り、就活生時代。数ある企業の中からある大企業を選んだ。理由はいくつかあるが、1つは面接官やOB/OGと会ったときに比較的自由でフラットな印象を持ったためだ。この人たちとならばやっていけそうだ、そう感じた企業を選んだのである。

しかし実際入ってみると、予想は悪い意味で覆された。

 

1.狼の群れに放り込まれた猫

入社1日目、組織の長からの第一声はこうだった。「君、お酒飲める?」

私が入ったのは、体育会系で飲み会大好きおじ様が集まる組織だった。

以後は、1回につき8〜9時間にも及ぶ飲み会戦記である。そこで私は狼の縦社会を徹底的に叩き込まれることになった。(注:忙しい人は2〜5は読み飛ばしてください。)

 

2.行く前から疲れたよ、パトラッシュ・・・

若手の仕事は、幹事。仕事は大きく分けて2つある。

1つ目は、店の予約(1次会から3次会まで)。こだわりの強いおじさん達が多いと骨が折れる。ありきたりなチェーン店を予約すると怒られるし、会社から会場まで乗り換えが発生すると文句を言われることもあり、場所選びは慎重に行う必要があった。

2つ目は、まわりへの根回し。事前の出席確認はもちろんのこと、当日の挨拶と締めの言葉を事前に頼む必要がある。歓送迎会の場合は贈り物や花束も事前手配。当日は迷子が出ないように、居酒屋までの道順を印刷したものを各人に渡す慣例もあった(各自でグーグル先生に聞いて欲しいものだ)。

 

3.飲み会は狼たちの牙城と化す

飲み会がスタートしたら、狼の縦社会を学び、遠吠えを聞かされる。

まず、狼の縦社会レッスン。お酒を全員についでまわることから始まり、酒瓶のラベルが上になっていないと指導が入る。誰かの杯が乾いてはいけないので、常にコップを凝視する必要があると学ぶ。もちろん食べ物のとりわけも同時に行う。後輩は先輩のために働き続けるのだ。猫に上下の概念はないので理解に苦しむ。

酒がまわると、狼達の遠吠えが始まる。「お前は酒が飲めないからダメなんだ」という説教か「⚪︎⚪︎専務のやり方が気にくわない」などと言った会社の愚痴である。

コップを凝視しながら&食べ物を取り分けながら&説教と愚痴を聞きながら、なので食べ物は全然食べられない。さらに、私はお酒が飲めないのでずっと烏龍茶を飲んでいる。また、上司たちは酔いが進むと同じ話を何度も言うようになる。もういいよ、烏龍茶と⚪︎⚪︎専務がむかつく話は・・・。

 

4.帰りたい、帰れない、さよならカントリーロード

1次会が終わり、2次会、3次会へと誘導する。午前3時、千鳥足の先輩に脚を踏まれ、ゲロの処理をし、疲れ果てる。みんな楽しそうに笑っている(一部寝ている)。私はしらふである、笑えない。最後は、寝ている人間をタクシーに突っ込む。

そして、次の日は朝一で出社するルールがある。「俺、実質1時間しか寝てね〜わ〜」。謎の自慢がはじまる。

学生時代から体育会系の世界を渡り歩いてきた人には当たり前かもしれないが、私には全く馴染みのない世界であった。飲み会の前日はいつも泣いていた。行きたくない、辛い。1年目の後半はノイローゼ気味になり、過敏性腸炎になった。猫が狼の群れに放り込まれても一緒に行動することはできないのだ。

 

5.同期からの一言

あれだけ調べたのに・・・私は企業の選択を間違えたのだろうか。半ベソをかきながら会社の同期に話したら、不思議そうな顔をされた。「私のいる部署は飲み会なんて全然ないよ」 

 

6.大企業、それはギャンブル

大企業には様々な部署が存在し、配属リスクの問題がつきまとう。職種採用でない限り、職種に関するリスク(営業希望が経理に配属になる等)があるのは承知であると思う。もう1つ忘れてはならないのが、組織風土に関するリスク。先の例の様に、1つの企業で1つの組織風土であるとは思わないほうが良い。同じ企業の中でも、猫の集会の様な組織、ドッグランのような組織、荒野の狼のような組織と、多種多様である。どこに入るかはまさに運次第。大企業就職はリスクの高いギャンブルなのである。